3.『都市緑地法』見直しの主なポイントは?
「景観緑三法」の整備にあたって、都市公園及び緑地の整備推進、立体的な公園区域など時代に即した制度の創設、都市近郊の緑を保全する制度の拡充、大規模建築物における緑化率規制の導入など、緑に関する法制の抜本的見直しが行われます。
1.従来の「都市緑地保全法」を「都市緑地法」とし、「都市公園法」の上位法に位置づけられます。
→様々な形態や手法による公園・緑地の整備が出来るようになり整備推進の可能性が広がります。
2.「緑の基本計画」の計画事項に、「都市公園の整備方針に関する事項」が必須となります。
→「緑の基本計画」に位置づけられた「水と緑のネットワーク」に基づき、都市公園の整備や緑地保全事業、民有緑地の公開に必要な施設整備費が補助対象となる「緑地環境整備総合支援事業」を創設します。
3.再開発などで生じた空間を都市公園として活用できるよう、立体的な公園指定が可能となります。
→立体的土地利用による都市公園整備における人工地盤の整備や地上権の取得についても、補助の対象となります。また、用地買収方式と比べ効率的な整備と判断される場合は、公園管理者負担分が補助の対象となります。
4.公園施設(植栽、花壇、遊具等)の設置管理について、地域住民の団体や民間企業も可能となります。
→現行の都市公園法では、公園管理者以外の公園施設の設置・管理は、公園管理者自らの設置・管理が不適切又は困難であると認められるものに限られています。公園管理者以外の者が公園施設を設け、管理することで、都市公園の機能向上が期待されます。
5.企業の遊休地などを活用した借地公園は、都市公園の保存規定の例外項目となります。
→10年以上の契約期間の借地による都市公園の整備においては補助メニューを設け、借地公園の整備を推進します。
6.都市近郊に残る緑を保全するため、都市計画で「緑地保全地域」を指定し、地域内での行為規制の基準を定めることができます。
→従来の「緑地保全地区」は「緑地特別保全地区」となります。
7.地区計画区域における建築物の建築、宅地の造成、木材の伐採等について、市町村長の許可制とすることができます。
→現行の地区計画制度では、樹林地等の保全に関する事項が計画されていますが、条例による規制はなく、届出勧告による担保にとどまっていました。
8.用途地域内で特に緑化推進を図るべき区域について、「緑化地区」とし、緑化率の最低限度を定めることができます。
→地区内のある一定規模以上の敷地においては、建築基準関係規定として「緑化率」規制を行います。
9.人工地盤や屋上等に整備された住民の利用に供する緑化施設も市民緑地の対象となります。
7.屋外広告業を「届出制」から「登録制」にします。
→「登録制」にし、違反行為者の登録取り消しや一定期間の営業停止命令等ができるようにします。1.『景観緑三法』とは?
景観形成に関する基本法(=『景観法』)を新たに制定するとともに、緑に関する法(=従来の「都市緑地保全法」を『都市緑地法』とし、「都市公園法」の上位法に位置づける)や屋外広告物に関する法(=『屋外広告物法』)の見直しを行い、一体的な効果が図れるようにするものです。
また、あわせて、ハード整備を含む景観形成に資する事業推進に向け「景観形成事業推進費(H16は200億円を計上)」等の予算措置や、景観形成のための税制特例などが充実され、景観形成をバックアップします。
2.『景観法』の概要は?
これまで、約500余りの地方公共団体が「景観条例」を定め、景観の整備・保全に努めてきました。
しかし、これまで、景観を整備・保全するための国民共通の基本理念が確立されておらず、自主条例に基づく届出・勧告等による景観誘導には限界が生じ、各地で景観をめぐる訴訟等が起こっています。また、地方公共団体の自主的な取り組みに対し、国の税・財政上の支援は十分とは言えませんでした。
そこで、新たに景観形成の基本理念や景観形成のための制度を位置づけた『景観法』を定めるとともに、関連予算や税制の充実が図られることとなりました。